sasaki

 日本国際政治学会のホームページにお越しくださり、誠にありがとうございます。このホームページには本学会に関するさまざまな情報が掲載されております。ぜひご覧ください。
本学会は1956年12月22日に呱々の声をあげました。北米を中心とするInternational Studies Association(ISA)より三年早い設立です。東京神田の学士会館で開催された創立総会に出席したのは僅か35名でしたが、現在は2022名の会員(2018年3月末)を数え、人文社会科学系では有数の規模を誇る学会に成長しました。設立趣意書には、「国際政治学、国際政治史、並にこれらに関連する国際経済学その他の諸学を世界的水準に到達させるために」本学会を結成するとし、学会の主な事業として「研究の討議の場を広く同学、同志の士に提供し、研究調査の成果を自由に発表する機関を整備し、かねて、学徒と実務家と言論人との親睦と協力を計ろうと期する」とあります。
その趣意書にありますように、本学会は広く定義される国際政治学の推進、発表、普及をはかる学術団体であり、現在は歴史、理論、地域研究、非国家主体という四つの分野を中心に国際関係論を専攻する研究者、大学院生、ジャーナリスト等から構成されています。年に一度秋に開催される研究大会では会員が多くの部会、分科会で報告、議論を行い、また日曜日午後の部会の一つは市民公開講座として一般市民の傍聴を歓迎し、学会の知見を社会に還元する試みを行っています。
本学会は学会活動の成果を世に問うために、和文機関誌『国際政治』を有斐閣より年に四回、英文機関誌 International Relations of the Asia-Pacific (IRAP) をオクスフォード大学出版局より年に三回発行しています。両編集委員会は、投稿論文に対して厳正な査読、審査を行っており、優れた学術論文を掲載することで、学界で高い評価を得ています。
本学会は海外の学会との学術交流にも積極的で、ISA、International Political Science Associaton (IPSA)、WISC(World International Studies Committee)等との交流を進めています。とくに韓国国際政治学会(KAIS)とは日本の研究大会で合同パネルを設置し、また本学会理事長がKAISの年次大会に出席、参加することは恒例となっています。
本学会は歴史ある学会ですが、決して因襲的ではなく、自由闊達で開かれた伝統を大事にしています。若手会員に研究大会で発表・報告の機会を多く与えていることは、大きな特徴であり、また若手会員の海外の学会での報告を支援しています。2008年には学会奨励賞を制定し、『国際政治』、IRAP に発表された若手会員の論文の中から、最優秀作品を選び、研究大会で受賞者を表彰しています。受賞論文は英訳され、IPSAの機関誌であるWorld Political Science に掲載されています。
本学会は2016年秋に学会創立60周年記念大会を開催し、次の60年に向け、その第一歩をしるし始めたところです。IRAP は今年1月、学会創立60周年を記念し、近年の『国際政治』に発表された論文の中から5本を選抜して英訳し、特集号を刊行しました。また『国際政治』は2020年春に第200号を記念する特別号を予定しており、理事会は編集特別委員会を組織して、鋭意その準備を進めています。1992年夏に刊行された第100号は「冷戦とその後」と題する特別号で、冷戦終結直後の混沌とした国際環境を踏まえ、冷戦の歴史的検討、21世紀国際政治の展望を議論する諸論文を掲載しました。第200号においても、時代を超えた価値をもつ優れた研究成果を発表できますように、全力を尽くします。
本学会の豊かな歴史は戦後日本の国際政治学研究の発展の歴史そのものです。先達が築き上げたこの歴史をさらに発展させるべく、今後一層努力する所存です。

一般財団法人日本国際政治学会 理事長(2018年―2020年) 佐々木 卓也(立教大学)