日本国際政治学会のホームページにアクセスいただき、ありがとうございます。本ホームページは、会員への情報提供、会員相互の情報交換の場であり、また日本国際政治学会から広く社会に開かれた大切な窓でもあります。
日本国際政治学会は1956年に設立され、1959年に財団法人として認可されました。法人法の改正に伴い、2012年に一般財団法人へと移行して現在に至ります。国際政治学(国際関係論という名称もあります)は第二次世界大戦後に本格的に定着した学問分野であり、本学会の発足は世界的に見ても先進的な取り組みであったということができます。また、本学会は人文社会科学分野で有数の規模をもつ学会であり、現在の会員は約2000名を数えます。
1956年12月、創立時の設立趣意書は、「国際政治学、国際政治史の分野で、一つの独立の学会もなく、一つの専門の学術雑誌もない」という状況に対して危機感を示し、両分野と関連分野について、「一日も早く、欧米の水準に追い付き、さらにこれを凌駕して、世界文運の向上に貢献せんと誓う」としています。国際連合に加入を果たした年の日本人の意識を率直に反映している言葉でしょう。
2012年、現在の一般財団法人へと移行する際に新たに制定された定款では、本学会の目的を、「国際政治、国際政治史、地域研究その他の国際的諸問題などに関する学際的研究の推進、発表及び普及を図り、国際政治分野における学術研究交流の促進に寄与する」と定義しています(第3条)。この文章にもあるように、国際政治に関する理論的、体系的分析、国際政治に関わる実証的および理念的な歴史分析、地域の政治、社会および文化に対する包括的な研究を志向する地域研究をはじめとして、厳密な学問的検証方法によりつつ、幅広い学際性を有し、多様な方法と専門分野の交流を通じて国際問題の解明に取り組むことが本学会の目指す所です。こうした活動の基礎となっているのは、理論系、歴史系、地域系、非国家主体系の4ブロックに属する21の分科会です。
この目的を実現するため、本学会は幅広い活動を行っています。毎年秋には年次大会を開催し、会員の研究成果の報告と討論や会員間の情報交換の場として活用しています。大会は会員以外の方も聴講していただけます。また、国際政治に関する研究成果公開の機会として、和文誌『国際政治』(年4冊発刊)と英文誌 International Relations of the Asia-Pacific (年3冊発刊)を発行し、厳正な査読を経た学問的に高水準の論文を掲載しています。和文誌のバックナンバーは総合電子ジャーナルプラットフォームJ-Stageで一般に公開しています。
その他、和英雑誌に掲載された若手研究者の論文から学会奨励賞を選抜、顕彰すると共に、会員の海外での研究、発信を支援するため海外渡航支援も行っています。韓国国際政治学会(KAIS)とは研究会合において相互交流を続けると共に、国際関係学会(ISA)、英国国際関係学会(BISA)、国際関係学世界委員会(WISC)、世界政治学会(IPSA)など海外の関連学術団体とも交流しています。さらに、会員向けのニューズレターや本ホームページを通じて、学会および国際政治学の研究に資する情報の提供に努めています。間もなく本学会は創立60周年を迎えます。2016年度には幕張メッセにおいて記念大会を開催する予定であり、現在、鋭意その準備を進めつつあります。
本学会の活発な活動は、先人の多大な努力の結晶であり、欧米の水準に追いつき、凌駕するための土台となるという創設時の目標は達成されたと言えるでしょう。しかし「世界文運の向上に貢献する」という目標は現在と未来の世代の課題であり続けています。日本国際政治学会の活動に対して、皆様からの温かい励ましと厳しいご批判を賜りますよう、お願い申し上げます。

日本国際政治学会理事長(2014-2016) 中西寛(京都大学)