『国際政治』第200号「オルタナティヴの模索――問い直す国際政治学」投稿募集 (2017年9月19日)

『国際政治』第200号「オルタナティヴの模索――問い直す国際政治学」

no200recruit

200号投稿募集
「オルタナティヴの模索
――問い直す国際政治学」

申込締切:2019年2月28日
提出締切:2019年9月30日

 日本国際政治学会は、1956年に結成され、2016年には創立60周年を迎えました。
 学会創設期の会員を結び、繋いだ結節点は、太平洋戦争の開戦原因を実証的に解明するという共通の関心事でした。その研究成果が、『太平洋戦争への道』(全七巻および別巻資料編、朝日新聞社、1962-63年)に結実したことはよく知られるところです。
 その後も、第二次世界大戦の敗戦国たる日本にとって、サンフランシスコ講和会議に参加しなかった諸国との関係修復が重要な外交課題となったこともあって、国交正常化の外交史的研究は本学会の主要な研究課題の一つであり続けましたが、本学会の研究活動は、外交史研究を含みつつも、それに限定されない多様性を持つものになりました。現在の年次研究大会では、理論、歴史、地域、非国家主体の4ブロックに大別される21の研究分科会が多様なセッションを繰り広げています。また、この4ブロック間のバランスの維持は学会運営の基調ともなり、この点に配慮しつつ企画・研究委員会は部会プログラムを企画し、編集委員会は学会誌『国際政治』の特集号を企画しています。
 かつて1960年代にヘドリー・ブル(Hedley Bull)は、その論文 “International Theory: The Case for a Classical Approach,” World Politics (1966), Vol. 18, No.3の中で、国際政治学においては、政治思想、歴史、国際法の知的伝統を汲む古典的アプローチと、一般命題の厳密な数理的証明や経験的検証を指向する科学的アプローチが競合するに至った、との状況認識を示したうえで、前者の擁護論を展開しました。これに対して日本では、大学における組織編成上、アメリカのように、国際政治学の教育・研究が外交史や国際法のそれと制度的に切断されなかったこともあって、国際政治学において科学的アプローチが知的覇権を握ることもなく、方法論的には学際的な広がりを誇ってきました。歴史的、社会的な視座も、日本の国際政治学の伝統の一部であり続けてきたのです。
 また学会の研究活動も、今日では、国内にとどまらず国際的な広がりを持っています。学会創立40周年を記念して、1996年には、北米を拠点とする国際関係学会(ISA)と日本国際政治学会との合同国際会議を開催したほか、韓国国際政治学会(KAIS)との間では年次研究大会の場を利用した合同部会開催が恒例化するなど研究交流を続けています。また2001年以降、英文学会誌 International Relations of the Asia-Pacific をOxford University Pressから刊行するなど、研究成果の対外発信に積極的に取り組んできました。
 このように多様性、学際性、国際性を持つがゆえに、本学会は、会員を結び、繋ぐ結節点を確認し続けてきたと言えるでしょう。学術的なアイデンティティをめぐる本学会の思索の跡は、川田侃・二宮三郎「日本における国際政治学の発達」『国際政治』第9号(1959年)、「特集――戦後日本の国際政治学」『国際政治』第61・62合併号(1979年)、日本国際政治学会編『日本の国際政治学(全4巻)』有斐閣(2009年)、さらに近年の研究大会における部会企画に目を向ければ、「日本におけるリアリズムの伝統とその足跡」(2010年度研究大会)「日本の国際政治学――学会のあり方と学問のあり方」(2012年度研究大会)「日本の国際政治学を考える――学問のあり方と教育のあり方」(2013年度研究大会)「日本の国際政治学を考える――日本のリベラリズムの再検討」(2014年度研究大会)等に見ることができます。

 学会の規模は創立50周年前後には2,100名の会員を擁するに至りましたが、その後、緩やかに減少し始めました。この趨勢は必ずしも本学会に限ったことではありませんが、近年において会員数に占める若手の割合が縮小していることは気がかりです。日本における国際政治研究をこれまで以上に知的活力あるものにする努力を怠ることはできません。そこで、『国際政治』200号では、会員を結び、繋ぐ結節点の所在をあらためて確認したいと考えました。

 第一の結節点は、日本において意識される《固有の課題》です。たとえば、第二次世界大戦の敗戦国たる日本にとっては、関係諸国との関係修復が持つ安全保障上の効果がその一例です。国際水準の国際政治学は基本的に戦勝国のそれであるため、敗戦国の安全保障に不可欠の、関係修復という難題を解く鍵は、出来合いのグローバル標準の国際政治学には見出せません。このようにグローバル標準の国際政治学の体系の中では十分に解明できない諸問題がここでいう《固有の課題》にあたります。
 第二の結節点は、会員の間の《共有の方法》です。まず、分析を行うにあたっての材料を、日本語のデータ、文献として共有しているのは自明なことです。それに加えて、分析を行うにあたっての思考方法も共有しています。前述の通り日本の場合には教育カリキュラム編成においても、学術団体の組織においても、国際政治学は国際法学や外交史学と切断されてはおりません。この学際性ゆえに、日本の国際政治学は国際関係の社会性・歴史性に一定の学術的な感度を保ってきました。
 このように本学会の会員を結び、繋ぐ結節点を探ることは、日本語の通用する世界に閉じこもろうとする安直な内向きの発想ではけっしてありありません。むしろグローバル・スタンダードの国際政治学のパラダイムに修正を迫る機会となりうると言えると考えます。

 『国際政治』200号は、グローバル・スタンダードの国際政治学の限界を見極め、そのオルタナティヴを模索する論考を募ることにしました。

 『国際政治』200号の編集は、『国際政治』200号編集特別委員会が担当します。
 論文の執筆を希望される会員は、連絡先をご明記のうえ、論文の仮題と論旨(1000~1200字程度)を2019年2月28日までに下記までお送りください。編集上の観点から検討を行い、ご寄稿の採否につきましては、2019年3月31日までにお知らせします。
 、論文提出の締め切りは、2019年9月30日を予定しております。原稿の分量は註を含めて2万字以内とします。学会ウェッブサイトにおいて、執筆要領をご確認ください。厳正な査読を行ったうえで、最終的な掲載の可否の決定を行います。特集号の刊行は2020年2月15日を予定しております。
 執筆要領については、以下の学会ホームページをご参照ください。
http://jair.or.jp/wordpress/wp-content/uploads/documents/shippitsuyoryo.pdf
 お申込みのほか、お問い合わせは下記までお願い申し上げます。

《編集委員会》
 飯田敬輔/中西寛/酒井啓子/大島美穂/大矢根聡
《連絡先》
編集委員会主任 大島美穂
〒151-0051 渋谷区千駄ヶ谷1-18-24 
津田塾大学総合政策学部
℡03-6447-5911 Fax 03-6447-5913
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