国際シンポジウム「世界における日本の新たな役割を求めて」
冷戦終結から20年、外交政策のあり方を考える
(国際基督教大学社会科学研究所、上智大学グローバル・コンサーン研究所)
開催日: 2010年11月13日(土) 9:30-18:00
場所: 国際基督教大学(ICU)、東京
ダイアログハウス、 国際会議室
冷戦後の日本の国際的な役割は、長きにわたり、アメリカとの緊密な安全保障関係や貿易立国として高まる重要性によって規定され、また近年では、開発や人間の安全保障の領域における取り組みによって特徴付けられている。それゆえ、日本は経済大国であり、政治的には小国であると広くみなされてきた。ポスト冷戦時代の初期には、世界における日本の政治的役割は、国連平和維持活動への参加の決断や開発援助の著しい増加によっていくぶん大きくなった。過去10 年の間に、日本はアメリカとの安全保障協力を強化し、欧州諸国のみならずアジア太平洋諸国との結びつきを緊密化しており、非伝統的な安全保障の分野においてより活発なプレーヤーになった。しかしながら、冷戦終結から20年を経ても、いまだに日本はグローバルな環境の中における自らの立場を模索している。日本のグローバルな役割そしてリージョナルな役割は、長い間、経済力と主力産業がその両輪であったが、中国の台頭によって、日本はこの前提の再検討を迫られている。日米安全保障体制は、長きにわたり日本の安全保障にとって唯一の柱であったが、自衛隊の派遣や米軍基地に関する最近の議論は、日本の強みを利用しながら、集団安全保障または二国間および多国間の平和構築や開発プロジェクト、大胆な外交イニシアティヴに関するより基本的な議論の端緒になるように思われる。
同シンポジウムは、21世紀最初の10年が終わり、東京での民主党政権による初の実質的な政権交代、およびアメリカ、オーストラリア、欧州連合における新しい政権の誕生から1年が経つに際し、日本のリージョナルな役割とグローバルな役割をより詳細に検討することを目指している。
プログラム:
9:30 – 9:45 学長挨拶
9:45 – 10:30 基調講演:
民主党政権下の日本外交:パラダイムシフトは起きるか
添谷 芳秀 (慶應義塾大学)
10:30-11:45 日本のリージョナルな役割とグローバルな役割に関する国内の議論
普天間基地移設問題と世論の動向――本土と沖縄の差は拡大したか
安野 正士 (上智大学)
外交政策オプションに関する世論のインパクト
ポール・ミッドフォード(ノルウェー科学技術大学)
日本の安全保障戦略とその課題
市川 恵一 (外務省, 日本)
11:45-12:30 パネルディスカッション:
日本の外交政策オプションに関する国内的観点
梅津 至 (司会)
添谷 芳秀
安野 正士
ポール・ミッドフォード
市川 恵一
12:30-13:30 昼休憩
13:30-15:00 基調講演:
アジア太平洋の安全保障における日本の役割
ウィリアム・タウ (オーストラリア国立大学)
アジアの中の日本
白石 隆 (内閣府総合科学技術会議)
15:15-16:45 日本のパートナーとの関係:協力と抑止の間
現在の日米関係と将来のオプション
アンドリュー・オロス (ワシントン・カレッジ, 米国)
日中関係 – 相互依存化の複雑さ
ラインハルト・ドリフテ (ニューカッスル大学、英国王立統合軍防衛研究所(RUSI))
西太平洋の荒海 – 激化する東アジアの海洋紛争と民主党政権下における日本の反応
佐藤 洋一郎 (立命館アジア太平洋大学)
現在の日印関係と将来のオプション
モハメッド・バドルール・アラム (ジャミア・ミリア・イスラミア大学, ニューデリー, インド)
16:50-17:45 パネルディスカッション:
日本の外交政策オプションに関する国際的観点
ヴィルヘルム・フォッセ (司会)
ウィリアム・タウ
白石 隆
アンドリュー・オロス
ラインハルト・ドリフテ
佐藤 洋一郎
モハメッド・バドルール・アラム
17:45-18:00 閉会の辞
(日英同時通訳あり)
交通アクセス:
JR中央線武蔵境駅南口から小田急バス「国際基督教大学」行終点下車
(乗車時間約12分、大学構内まで入ります)
国際基督教大学 社会科学研究所 (SSRI)
東京都三鷹市大沢 3-10-2
Tel: 0422/33-3224 http://subsite.icu.ac.jp/ssri/