JAIR Newsletter
日本国際政治学会ニューズレター
No.97 November 2002

2002-04年度理事長就任のご挨拶

下斗米伸夫(法政大学)

 まもなく創立から半世紀になろうとするこの伝統ある学会だが、11月の淡路島理事会で新理事長に選出された。猪口前理事長には過分なご推薦を頂き、身の引き締まる思いである。私的なことで恐縮だが、本学会への関与は、70年代末に故鴨武彦先生にお誘い頂いて以来である。だが会員としての学会活動を振り返ってみると、報告面でも寄稿面でもあまり貢献が多くないことに気づいた。今後の仕事で少しでも埋め合わせしたい。
 学問的には学部時代からソ連研究という地域研究をめざししつつ、同時に国際政治の理論・歴史もかんがえる、というスタンスだった。E・H・カーという巨人がいた。当時日本のソ連研究者はどちらかといえばカーの『危機の20年』のような国際政治論を無視し、大著『ソビエト・ロシア史』しか読まない傾向があった。しかしカー伝を書いたハスラムもいうように、地域、理論と歴史の『統合という悪徳』こそ、カーの学問の特徴だったし、自分自身のめざそうとしたアイデンティティでもあった。
 それから30年、かの国は崩壊し、冷戦も過去の話となって久しい。引き続き地域研究と政治外交史を軸に、学会でも少しは恩返しをしたいと言う気持ちである。
 さて、学会が当面する課題は、第一に、財政問題、第二に、創立50周年の準備、第三に寄付行為・選挙制度改正、と山積みしている。さらに日韓、日独などの対外交流も重要となろう。
 まず財政問題では、5月の理事会と本総会で、かなり大幅な会費改正をお願いし、幸いにも了承された。この経済情勢の折り、もう少し小幅な選択肢もないものかと運営委員会などで検討したが、すでに指摘されたとおり、学会財政はすでに均衡財政であって、これからの学会活動の飛躍には不可避な選択であった。
 これにみあった学会活動とサービスの展開が急務であろう。03年度からは自由投稿の和文機関誌を創刊し、また引き続き英文雑誌を軌道に乗せる宿題がある。国際的水準を保ちつつ、日本からの発信という創刊の目的を支援していきたいと考えている。
 次の課題は2006年にせまった学会創設五〇周年への取り組みである。1956年に創刊された本学会の記念の日まで、残された時間は四年を切っている。記念会議は日本の国際政治学会の歴史を振り返り、現在の水準を示しつつ、国際的にも意義深いものに考えたい。
 また財団法人としての本学会には、国立大学の独法化、法人制度改革に伴う独立事務所設立といった課題が迫っている。はたして本学会のような純粋な学術団体までが他の法人と同じ扱いをうけるべきか議論はあろう。監督官庁の意図や他の学会と連携をとりつつ、寄付行為改正まで至るべきかの情勢判断を理事会や運営委員会の御意見、広く一般会員の意見を聴取しながら勧めていきたい。少なくとも現行選挙制度は規定と実態とのギャップが激しいと従来から指摘されている。評議会や理事会と相談しながら制度改正することをはかりたい。
 特にこれらの諸課題は理事会との提携が不可欠である。運営委員会と理事会の関係を密にとりたい。本学会のような二〇〇〇名を越える大組織の学会活動は、いろいろな面で会員の協力が不可欠である。事務的なことは外部委託し、省力化を図りつつ、研究交流という学会本来の活動を促進する、そのような運営をめざしたい。あらためて会員の皆様のご協力をお願いする。

2003年度研究大会における部会企画・報告の募集

 2003年度研究大会(10月17日(金)―19日(日)、於:茨城県・筑波研究交流センターおよびエポカルつくば(つくば国際会議場))の部会に関して、会員の皆さまからさまざまなご提案やご希望をいただきたく思います。また、若い会員を中心とした自由論題(部会)についての報告希望も募集いたします。もちろん、ご希望の皆さま全員にお約束できるわけではありませんが、参考とさせていただきますので、よろしくお願いいたします。部会報告についてはペーパー提出が義務づけられていることをお忘れなく。
 2003年度部会企画案・自由論題報告希望をお持ちの方は、以下の要領で応募してください。

(1)明記してほしいこと
・ 氏名、所属、連絡先(住所、電話番号、e-mail等)。
・ 部会企画案もしくは自由論題報告テーマ、およびいずの場合も趣旨(300-400字程度、それ以上でも結構です)。
(2)応募先
・郵便、FAXもしくはe-mailにて、担当の天児慧までお送りください。
・送付先については、郵送したニューズレター97号をご覧ください(個人情報のwebでの公開は控えておりますので、ご了承ください)。
(3)締め切り:2003年1月末日。

 応募者の方は以上の点の記入漏れがないようにご確認ください。その他、企画・研究に関するご意見・アドバイスも大歓迎です。

 (企画・研究委員会主任 天児 慧)

2003年度研究大会における分科会報告の募集

 分科会での報告を希望する人は該当する分科会責任者(名簿参照、但し一部変更あり)に、2003年3月末日までに申し込んでください。

 (分科会・代表幹事 高松基之)

『国際政治』への投稿について
 『国際政治』では、ご承知のように毎号特集を組んで編集を行っておりますが、それとは別に、特集とは関係のない独立論文を1-2本掲載しております。会員各位からの積極的な投稿をお待ちします。執筆にあたっては『国際政治』131号掲載の「編集および執筆要領」に従って下さい。ご投稿いただいた原稿は、2名のレフェリーの判定により、掲載の可否を決めさせていただきます。
 なお、来年度より『国際政治』は3号体制から4号体制に変わり、1号は独立論文特集号となります。2004年初めにその第1号を刊行予定ですので、ふるって御応募下さい。これまで各号に掲載していた1-2本の独立論文も、4号体制以後も引き続き掲載の予定ですので、結果として機関誌に掲載される独立論文の数が飛躍的に増えることになります。
 投稿ご希望の方は、古城佳子副主任(独立論文担当)宛にオリジナル1部およびコピー4部をお送り下さい。字数は注を含めて2万字以内で、投稿の期限はありません。なお、手書きの原稿は認められていません。投稿者は必ず、自宅と所属先の住所、電話・FAX番号、Eメール番号を明記して下さい。

古城佳子副主任 東京大学大学院総合文化研究科

送り先は郵送したニューズレター97号をご覧ください。個人情報のweb公開は控えておりますので、ご了承ください。

(編集委員会)

≪事務局だより≫
 11月15日から17日かけて淡路夢舞台国際会議場で2002年度の研究大会が開催されました。15日に2000-2002年期の第12回運営委員会、第5回理事会が開催され、これに引き続き、2002-2004年期第1回理事会が開催され、16日には、総会が開催されました。2002-2004年期第1回理事会では、理事長・副理事長選挙が開催され、下斗米伸夫理事が理事長、大芝亮理事が副理事長に選出されました。
 本号は、2002年中にどうしても会員の皆様にお伝えすべき事項のみをとりあげた緊急号です。新体制および研究大会の詳細などは次号でとりあげる予定です。

(2000-2002年期事務局長 田中明彦)

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「日本国際政治学会ニューズレターNo.97」
(2002年11月29日発行)
発行人 下斗米伸夫
編集人 田中 明彦 
〒113-0033 東京都文京区東京大学
東洋文化研究所 田中明彦研究室

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